勝利数に続いて、今回は投手としての「質」を示す重要な指標である「防御率」に焦点を当ててみたいと思います。
日米のトップレベルで二刀流として過酷なシーズンを送りながら、大谷選手はどれだけ相手打線を抑え込んできたのでしょうか。プロ入りから2025年終了時までの日米通算防御率の推移をデータで可視化してみました。さっそくグラフを見ていきましょう。
【データ可視化】大谷翔平の防御率を徹底分析!
まずは、プロ入りから現在(2025年終了時)に至るまでの日米通算の防御率推移(単年・通算)のグラフです。

2025年終了時点で、大谷選手の日米通算防御率は2.75という非常に優秀な数字を記録しています。
グラフを見ると、オレンジ色の折れ線(通算防御率)が、プロ3年目の2015年以降、常に2点台で非常に安定して推移していることがわかります。打者としてフル稼働しながら、これだけ長期間にわたって投手としてのクオリティを高く維持し続けているのは驚異的です。
単年の記録(青色の折れ線)に目を向けると、特筆すべきシーズンがいくつかあります。日本ハム時代の2015年には防御率2.24でリーグ1位を獲得。メジャー移籍後も、規定投球回に到達した2022年には2.33という素晴らしい成績でサイ・ヤング賞争いに加わり、リーグ4位に入っています。
また、右肘の手術明けとなった2025年の復帰シーズンでも単年2.87をマークしており、マウンドに上がれば常にゲームを作れる絶対的なエースであることがデータからも明らかです。
レジェンド(野茂英雄・ダルビッシュ有)との防御率比較
さて、現在の大谷選手の日米通算防御率2.75という数字がどれほど凄いのか。勝利数の記事と同様に、日米通算200勝の大台を達成している偉大な先駆者、野茂英雄氏とダルビッシュ有氏の防御率推移と比較してみましょう。


野茂英雄(日米通算防御率 3.86)
近鉄でのプロ1年目(1990年)に防御率2.91でいきなりリーグ1位を獲得。日本時代は安定して2点台〜3点台前半を記録していましたが、メジャー移籍後は強打者たちとの対戦や長年の疲労もあり、単年で4点台のシーズンも経験しています。それでも日米でタフに先発として投げ抜き、最終的な通算防御率は3.86となりました。トップレベルでイニングを稼ぎ続けることの難しさがわかります。
ダルビッシュ有(日米通算防御率 2.96)
特筆すべきは日本ハム時代の2007年〜2011年で、なんと5年連続で防御率1点台という圧倒的な無双状態でした。メジャー移籍後も、カブス時代の2020年に2.01を記録するなど素晴らしい投球を披露しています。2025年終了時点でプロ生活20年を超えているにもかかわらず、通算防御率2.96をキープしているのは、まさに驚異的な安定感と言えます。
レジェンドとの比較考察
専任のエースとして膨大なイニングを投げてきた両氏と、二刀流で登板数やイニング数がコントロールされている大谷選手を単純な横並びで比較することはできません。
しかし、これら歴史的な大投手たちの通算記録と比べても、現在の大谷選手の「通算2.75」という数字がいかに傑出したクオリティであるかが分かります。 打者として年間50本前後のホームランを放ちながら、マウンドに上がればダルビッシュ投手のような歴代最高クラスのエースと同等のレベルで相手打線を封じ込めていると考えると、改めてその存在の異次元さに気付かされますね。
【データシミュレーション】40歳現役で到達する記録
では、大谷選手がドジャースとの10年契約が満了する「40歳(2033年)」まで現役を続けた場合、通算の記録はどこまで伸びるのでしょうか?
ここでは、これから引退まで毎年コンスタントに「防御率3.00(170イニング)」を積み上げたと仮定したシミュレーショングラフを作成してみました。

シミュレーションの結果、今後毎年「防御率3.00」で投げ続けたとしても、40歳(2033年)時点での日米通算防御率は2.89となり、見事に2点台をキープしてフィニッシュすることになります。
メジャーリーグにおいて「年間防御率3.00・170イニング」というのは、先発ローテーションの柱として申し分ない優秀な成績です。その素晴らしい好成績を毎年上乗せしていったとしても「通算防御率が悪化してしまう(2.75から徐々に上がり、2.89になる)」という事実が、現在の大谷選手の「通算2.75」という数字がいかに飛び抜けているかを物語っています。
もちろん、打者としてフル出場しながら毎年170イニングを投げるというのは非常に過酷なミッションです。しかし、仮に今後のシーズンで多少の浮き沈みがあったとしても、引退まで「通算防御率2点台」という大投手の証を維持できる可能性は十分に高いと言えるでしょう。
歴代レジェンドと比較!通算防御率ランキングでどこまでいけるか?
先ほどの「40歳まで毎年防御率3.00(170イニング)」というシミュレーション(通算2.89)を踏まえて、歴代の偉大なレジェンドたちの記録と照らし合わせてみましょう。
日本人の防御率ランキング
日米通算の防御率記録トップ5は以下のようになっています。(2000投球回以上)
| 順位 | 選手名 | 実働期間 | 防御率 |
|---|---|---|---|
| 1 | 藤本英雄 | 1942-1955 | 1.90 |
| 2 | 野口二郎 | 1939-1952 | 1.96 |
| 3 | 稲尾和久 | 1956-1969 | 1.98 |
| 4 | 若林忠志 | 1936-1953 | 1.99 |
| 5 | スタルヒン | 1936-1955 | 2.09 |
さすがに時代が違いすぎるため、過去30年(1996年以降まで現役だった選手)に絞ると以下のようになります。
| 順位 | 選手名 | 実働期間 | 防御率 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 斎藤 雅樹 | 1984-2001 | 2.77 | |
| 2 | 大野 豊 | 1977-1998 | 2.90 | |
| 3 | ダルビッシュ有 | 2005- | 2.96 | ※日米通算、現役(2025年終了時) |
| 4 | 杉内俊哉 | 2002-2015 | 2.95 | |
| 5 | 上原浩治 | 1999-2018 | 2.94 | ※日米通算 |
日本球界で長く活躍し、通算2000イニング以上を投げ抜いて2点台の防御率をキープしているのは、まさに歴史に名を残す大エースたちばかりです。過去30年に絞るとそのハードルはさらに跳ね上がり、現代野球において「2000投球回&防御率2点台」を達成し続けることの過酷さが際立ちます。ここでも大谷選手の「2.75」という数字が、先発投手としていかに歴史的なレベルにあるかがわかりますね。(大谷選手の2025年終了時の投球回は1071イニング)
MLBの防御率ランキング
さらに視点を広げて、MLBの歴代通算防御率ランキングのトップ5を見てみましょう。
| 順位 | 選手名 | 実働期間 | 防御率 |
|---|---|---|---|
| 1 | エド・ウォルシュ | 1904-1917 | 1.82 |
| 2 | アディ・ジョス | 1902-1910 | 1.89 |
| 3 | モーデカイ・ブラウン | 1903-1916 | 2.06 |
| 4 | ジョン・ウォード | 1878-1884 | 2.10 |
| 5 | クリスティ・マシューソン | 1900-1916 | 2.13 |
さすがに時代が違いすぎる(100年以上前のボールが飛ばない時代の選手たちが上位を独占しています)ため、過去30年(1996年以降まで現役だった先発投手)に絞ると以下のようになります。
| 順位 | 選手名 | 実働期間 | 防御率 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | クレイトン・カーショウ | 2008-2025 | 2.53 | ※2025年引退 |
| 2 | ペドロ・マルティネス | 1992-2009 | 2.93 | |
| 3 | ロジャー・クレメンス | 1984-2007 | 3.12 | |
| 4 | グレッグ・マダックス | 1986-2008 | 3.16 | |
| 5 | ヨハン・サンタナ | 2000-2012 | 3.20 |
(※ちなみに、投球回1000イニング以上のリリーフ専任を含めた場合、歴代最高のクローザーであるマリアノ・リベラが通算防御率2.21という驚異的な数字を記録しています。)
過去30年のメジャーリーグという、世界で最もレベルが高く過酷な環境において2000イニング以上を投げ、「通算2点台」をキープしている先発投手は、昨年惜しまれつつ引退したカーショウと、伝説の投手ペドロ・マルティネスのわずか2名のみです。
大谷選手の「日米通算2.75」という数字がいかに規格外であるか、このランキングを見てもはっきりと実感できますね。
まとめ:大谷翔平の防御率推移から見る圧倒的なクオリティ
今回は大谷選手の投手としての「質」を示す「防御率」に焦点を当てて、これまでの推移やレジェンドたちとの比較を行いました。
撃成績にばかり注目が集まりがちですが、投手・大谷翔平の「相手をねじ伏せる力」もまた、間違いなく歴代トップクラスです。二刀流として完全復活を果たす来季以降、この素晴らしい防御率をどこまで維持し続けてくれるのか、マウンドでの躍動から目が離せません!
【大谷翔平】打撃成績推移シリーズ(2025年終了時)
打率 本塁打 打点 OPS 出塁率 長打率 安打
二塁打 三塁打 塁打 得点 盗塁 四球 敬遠
【大谷翔平】投手成績推移シリーズ(2025年終了時)
勝利 防御率 奪三振 奪三振率 投球回 WHIP
本記事のデータは以下のサイトのデータを基に筆者が作成・シミュレーションしています。
Baseball-Reference
FanGraphs
MLB.com
NPB.jp 日本野球機構
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1.02 Essence of Baseball



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